『Physician Simulator』――治療ではなく、「ノー」と言うことを学ぶゲーム
2026年5月28日、『Physician Simulator』のデモがSteamで配信された。開発・販売はPavel Shishkin。Steamの説明は実に率直だ。『Papers, Please』風の医療官僚シミュレーター。

あなたが演じるのは医者ではない。門番だ。
あなたは小さな町の診療所に配属された新卒医師
舞台は架空の共和国「Zdravia」。6年間の医学教育を終えたあなたは、保健省から第67診療所に配属される。拒否すれば学位を失う。

毎日5人の患者が、あなたの診察室に入ってくる。鼻水だけの人もいれば、偽の紹介状でオピオイドを手に入れようとする人もいる。テレビで見た抗生物質を要求する怒れる老婦人もいる。大半は、自分が求めているものを本当に必要としているわけではない。
あなたの仕事は、誰が本当に病気で、誰が嘘をついているのかを見極め、その患者に処方箋を出すべきか、紹介状を書くべきか、それとも追い返すべきかを決めることだ。
手元には4つのツールがあり、そのうち1つは信頼できない

カルテ。 アレルギー歴、慢性疾患、現在の服薬。一行見落とせば、命に関わる処方を出してしまう。
バイタルサイン。 体温、血圧、喉の状態。患者の言葉と測定値を照合する必要がある。
書類。 本物の紹介状もあれば、偽造された印章、期限切れの日付、様式の異なる免許証もある。
決定。 処方、紹介、拒否。どの判断もあなたの評判に影響する。
机の上には参考書もある。検査値、薬物相互作用、症状の手がかり。そしてスマホにはAI医療アシスタントがいる。30%の確率でハルシネーションを起こす。自己責任で使おう。
この設計は賢い。ひとつのジョークでこう告げている。単一の情報源を信じるな。自分でクロスチェックしろ。そしてこれこそが『Papers, Please』型ゲームの核心だ。システムはツールを与えるが、答えは与えない。
医学ではなく、「不完全な情報」をゲームにしている

すべての情報が完全なら、ただの医学クイズだ。患者が全員正直なら、ただの診断ゲームだ。書類がすべて本物なら、カルテを読むだけの作業だ。
ゲームとして成立するのは、異なる情報源が互いに衝突するからだ。
患者はこう言う。カルテはこう書いている。バイタルはまた別のことを示す。書類は偽物かもしれない。AIアシスタントはでたらめを言うかもしれない。そして、あなたは決断しなければならない。
これが『Physician Simulator』の本当に面白いところだ。あなたは「治療」を体験しているのではない。全体像が見えないまま、決断を迫られる。
5日間、毎日5人

デモは5日間、1日5人、より大きな患者プールから抽出される。Steamの公式説明は「毎回のプレイが異なる」としている。
この構造のおかげで、デモにもある程度のリプレイ性が生まれている。同じ症状が異なる原因を指すこともあるし、同じ要求がまったく異なる動機から来ることもある。ただ、長期的なリプレイ性があるとまでは、まだ言えない。
週の終わりには評価システムがある。あなたはスターにもなれるし、反面教師にもなる。
製品版では5週間の業務、隠された「忠誠度」トラック(使用できるツールが決まる)、再登場するキャラクター、分岐するストーリーイベント、そして解雇から優等卒業まで10種類のエンディングが計画されている。
このゲームが突きつけてくるのは、「ノー」と言う重さだ

このゲームは、医者が患者に「ノー」と言わなければならない瞬間を中心に据えている。
この薬は必要ない。この紹介状は書けない。あなたの状況は救急外来を必要としない。
断ることのプレッシャーは、医学知識から来るのではない。対人関係から来る。患者は怒り、食い下がり、なんとかこちらの判断を変えようとしてくる。そしてあなたは限られた情報と限られた時間で判断を下さなければならない。
これが『Papers, Please』型ゲームの本質だ。ルールは単純だが、それを執行するのは難しい。 ルールの向こう側には、具体的な人間がいるからだ。
SteamレビューとAI開示
本稿執筆時点で、デモはSteamで20件のユーザーレビューを持ち、すべて好評だが、サンプル数はまだ非常に限られている。
対応インターフェース言語は9言語。英語、ロシア語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、ポルトガル語、チェコ語、日本語、簡体字中国語。
注目すべきは、Steamページが生成AIの使用を明示していることだ。患者の会話とフィードバック(ロシア語がソース言語)にはAI支援が使われ、すべてのゲーム内テキストのローカライズ(簡体字中国語を含む)にもAIが使われている。開発者はこれをSteamページで明らかにしている。
ゲームはすべてを検証させる。単一の情報源が完全に信頼できるわけではないからだ。そして――
答えが整理された状態で与えられるわけではない。自分で判断しなければならない情報だけが渡される。
著作権表示:本記事で使用しているゲームスクリーンショット、キャラクター画像、および関連素材の著作権は、Pavel Shishkin 等の各権利者に帰属します。本記事はゲームの紹介・レビュー・情報提供を目的としています。
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