JRPGに興味がなかった人ですら夢中にさせた作品。それが『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』だ。

2016年に『ペルソナ5』が発売され、3年後には追加要素を多数収録した『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』が登場。2022年には、かつてプレイステーション独占だったこの作品がPC、Xbox、Switchに移植され、全世界で900万本以上のセールスを記録した。「アニメ調のターン制バトル」とか「高校生が世界を救う」といった印象で止まっているなら、その影響力を過小評価しているかもしれない。シリーズ最高の売上を誇るだけでなく、一時は「スタイリッシュJRPG」の代名詞でもあった。
今までペルソナをやったことがないけど、5から始めても大丈夫?
もちろん。どのナンバリングタイトルも独立した物語で、過去作との直接的なストーリーのつながりはない。『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』が最適な入門作であり、過去作を予習する必要は一切ない。
本作はPS4、PS5、Nintendo Switch、PC(Steam / Windowsストア)、Xbox One、Xbox Series X/Sでプレイ可能。かつてXbox Game Passにもラインアップされていた。
ストーリー概要
舞台は現代の東京。主人公は傷害事件の冤罪をかけられ、秀尽学園に転校・保護観察となり、カフェの屋根裏で暮らすことになる。その春、街では奇妙な出来事が続く――権力者たちが次々と自ら罪を認め、メディアは「改心事件」と呼ぶ。
主人公は仲間たちとともに「ペルソナ」という力を目覚めさせる。彼らは「パレス」――歪んだ欲望から生まれた異世界――に入り、その奥にある「秘宝」を盗むことで、現実の標的に改心を強いることができる。こうして「心の怪盗団」を結成し、腐った大人たちを更生させる活動を始める。

物語は単純な勧善懲悪では終わらない。怪盗団の人気が高まるにつれ、社会は彼らの正当性を疑い始める。やがてより大きな陰謀が姿を現し、物語は思わぬ方向へ進んでいく。その先には、想像以上に大きな真実が待ち受けている。
主人公のコードネームはジョーカー。ゲーム内では名前は自由に設定できる(漫画やアニメでは「雨宮蓮」と呼ばれる)。他の怪盗団メンバーも個性豊かで、血気盛んな不良、クールな優等生、天才ハッカー、モデルとしても活躍する少女、世間知らずなお嬢様など、それぞれ覚醒する理由を持っている。さらに、作戦参謀兼ツッコミ役として、しゃべる黒猫のモルガナ(自分は猫ではないと主張)も登場する。
日常:学校、アルバイト、恋愛、そしてダンジョン
『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』のゲームプレイは大きく二つに分かれる:日常パート(ビジュアルノベル調) と ダンジョン探索(ターン制RPG)。

1日は「放課後」と「夜」の二つの時間帯に分かれている。学校に行く、アルバイト、友人と過ごす(「コープ」、または「協力者」と呼ばれる)、読書で能力を上げる、さらには恋愛するなど、自由に行動を選べる。これらの活動は5つのパラメータ(知識、度胸、優しさ、器用さ、魅力)に直接影響する。能力が足りないと特定の会話や活動が解放されない。
ストーリーがある程度進むと、「パレス」(メインのダンジョン)または「メメントス」(サブダンジョン)に入れる。パレスは個別に設計されたダンジョンで、パズル、ステルス、敵が配置されている。メメントスはランダム生成ダンジョン(『真・女神転生』のようなもの)で、金稼ぎ、クエスト遂行、ペルソナ収集に使う。
本作を象徴するシステムのひとつが時間管理だ。すべてをやることはできない。1日にできる行動は限られているため、パラメータ上げ、コープ進行、ダンジョン探索のいずれかを選ばなければならない。このカレンダー制は『ペルソナ』シリーズの特徴であり、何度も遊び直すプレイヤーが多い理由の一つでもある。多くのプレイヤーにとって、本当に惹きつけられるのは戦闘ではなく、日常をダンジョン攻略と同じくらい魅力的にするソーシャルシミュレーション要素だ。
ペルソナと「ワンモア」バトルシステム

『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』の戦闘はターン制だが、わかりやすく爽快なルールセットを持つ。
- 弱点攻撃:敵はそれぞれ属性弱点(火、氷、雷、風など)を持つ。弱点を突くと敵はダウンし、追加行動(ワンモア)を得る。
- 総攻撃:すべての敵がダウンした状態で発動できる派手な全体攻撃。大ダメージを与え、ほとんどの場合そのまま戦闘終了となる。
- バトンパス:敵をダウンさせた後、追加行動を仲間に譲ることができる。譲られた仲間はダメージボーナスを得る。これはロイヤル版で追加された、戦闘をよりスムーズにするシステム。
シャドウ(敵)と交渉し、ペルソナとして仲間にすることができる。また、2体のペルソナを合体させて新しいペルソナを作ることもできる。ペルソナの総数は200種類以上で、神話、歴史、文学、都市伝説などから着想を得ている。戦闘中にペルソナを切り替えられるのは主人公のみ(仲間のペルソナは固定)。スキルの継承や合体計画は終盤のチーム構築の鍵となる。
難易度は「セイフティ」(非常に簡単、ゲームオーバーなし)から「チャレンジング」(難しい)まで用意されており、戦闘中でもいつでも変更可能。セイフティはストーリーだけを楽しみたい初心者向け、ハードはしっかりとした戦略が求められる。
ロイヤル版で何が追加されたか?

『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』は、オリジナル版に多数の追加要素を加えた完全版だ。主な追加要素:
- 新たな第三学期:オリジナル版エンディング後に約1か月間の新ストーリーが追加。新しいパレス、新ボス、そしてキーキャラクターとなる芳澤かすみと丸喜拓人が登場する。この章は物語の核心を変え、高い評価を得ている。
- 二人の新キャラクター:芳澤かすみ(信念コープ)、芸術的な新体操選手で主人公の同級生。丸喜拓人(顧問コープ)、スクールカウンセラーであり第三学期の鍵を握る人物。かすみはロイヤル版の顔とも言える存在。
- 戦闘の改善:バトンパスのダメージボーナス強化、ステルス移動のスムーズ化、戦闘ごとに弾丸が回復(オリジナルではダンジョンから出るまで回復しなかった)、新たな合体処刑など。
- 快適機能:テレビモニターからほとんどの場所にファストトラベル可能。「我が宮殿」モードでムービー閲覧、設定画購入、BGM鑑賞などができる。
- テクニカルアタック:状態異常(燃焼、感電など)を利用した追加ダメージ。
オリジナル『ペルソナ5』をやったことがなければ、ロイヤル版をそのまま買えばよく、オリジナルを選ぶ必要はない。オリジナルをやったことがあるなら、第三学期と新キャラクターだけでも十分に二周目の価値がある。
派生作品
『ペルソナ5』にはいくつかの派生作品があるが、特筆すべきは以下の二つ。
- 『ペルソナ5 スクランブル ザ・ファントムストライカーズ』(P5S):ロイヤル版エンディング後を描くアクションRPG。開発はコーエーテクモのオメガフォースだが、ストーリーはアトラスが書き下ろし、公式の続編と見なされている。ただの無双ゲームではなく、ペルソナの弱点属性、SP管理、合体システムなどを継承している。
- 『ペルソナ5 ダンシング・スターナイト』:ファン向けリズムゲーム。
他の派生作品(『ペルソナQ2』など)もあるが、影響力ははるかに小さい。
魅力
- 唯一無二のアートディレクション:赤と黒のコントラスト、ポップアート風UI – 2026年でも色あせない。『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』にハマった理由がJRPGのシステムではなく、UIと音楽だという人は少なくない。
- 評価の高いサウンドトラック:目黒将司のアシッドジャズ。『Life Will Change』『Last Surprise』『Beneath the Mask』などの楽曲は、JRPGファンの枠を超えて知られている。
- ダンジョン攻略だけでなく、学園生活そのものを楽しめる点:これこそが『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』を他のJRPGと決定的に差別化する点だ。単なる英雄譚ではなく、他のJRPGにはあまり見られないスタイリッシュな高校生活の疑似体験を提供する。
- キャラクター造形の丁寧さ:どのコープも単なる使い捨てクエストではなく、完全なストーリーアークを持っている。
- 圧倒的なボリューム:クリアまで80~120時間は軽くかかる。
気になる点
- 序盤の遅さ:最初のパレス(鴨志田)に到達するまでのチュートリアルとイベントが3~5時間も続く。自由に動き始める前に諦めてしまうプレイヤーも多い。
- 奥村パレス:冗長で繰り返しのパズル、直感に反するボス戦 – シリーズ中最もフラストレーションが溜まるダンジョンとされる。
- メメントス:後半のメメントス周回は退屈で、「時間稼ぎ」と評されることが多い。
- 芳澤かすみの出番の少なさ:ロイヤル版の顔でありながら、彼女が本格的に活躍するのは第三学期だけで、それまでの存在感は薄い。
- 奥村春の加入時期が遅すぎる:パーティメンバーになる頃にはゲームも終盤に差しかかっており、育成や使い込みの余地がほとんどない。
- 明智吾郎のキャラ造形の賛否:一部のプレイヤーは彼の更生劇が強引だと感じ、動機や結末の扱いに意見が分かれる。
- 時間的プレッシャー:コンプリート主義者は攻略を見ないと不安になる。ただしロイヤル版はかなり寛容で、普通にプレイしていれば大部分の重要な要素は達成できる。
移植の品質:Switch版はグラフィック面での妥協が大きい。4KディスプレイならPS5またはPCが推奨される。
なぜ遊べない人もいるのか
『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』は本質的にテキスト量が極めて多いゲームだ。プレイ時間の大部分はストーリーイベント、キャラクターの会話、日常活動で占められる。常にアクションしていたい、オープンワールドを探検したい、あるいはテキストを読むのが苦手で、会話で物語を進めるスタイルが嫌いなら、たとえ品質を認めていても最後までやり遂げる忍耐力がないかもしれない。これは『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』最大の離脱ポイントであり、奥村パレスよりも大きい。
こんな人には特におすすめ
- JRPGが初めてという初心者
- 学園モノや青春ドラマが好きな人
- キャラクター同士の人間関係をじっくり楽しみたい人
- 80時間以上の長編RPGを厭わない人
逆におすすめしにくい人
- 大量のテキストを読むのが苦手な人
- テンポの良いゲーム進行を求める人
- オープンワールドや自由な探索を重視する人
初めて遊ぶなら

『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』を直接始めればいい。初回は攻略サイトを見ずに、自分の直感で行動することをおすすめする。何かを逃しても、それは二周目の理由になる。
序盤のテンポや一部ダンジョンに課題はあるものの、それを補って余りある魅力を持つ作品である。JRPG初心者が最初に触れる作品としても有力な選択肢と言えるだろう。
著作権について
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