『Needle In A Haystack Simulator』——500万本の干し草、1本の針、そして模倣作に埋もれた開発者
2026年8月、Xに投稿されたゲームプレイ映像が大きな話題となり、投稿のインプレッション数は5000万回を超えた。映っているのは、巨大な干し草の山の前にしゃがみ、干し草を一本ずつ選り分ける人物だ。コメント欄には「このゲームはおかしい」「最後まで見てしまった」「これは遊んでみたい」といった反応が相次いだ。
ゲーム名は『Needle In A Haystack Simulator』。開発者はStudio BitdotのNas Nakarus。本稿執筆時点では未発売で、Steamページには2026年第4四半期の発売予定と記載されている。したがって本稿は、公開されたゲームプレイ映像とSteamストアページの情報をもとにした事前分析であり、完成版のレビューではない。映像が話題になった後、Steamでは23,000人以上がプレイテストに登録した。しかし、その一方で開発者は別の問題にも直面する。Steamでユーザーに自分のゲームの公式ページを見つけてもらうことだ。オリジナルの発売前にもかかわらず、似たタイトルの模倣作が検索結果に並んでいたのである。

「不可能」を文字通りに再現する
ゲームプレイは一言で説明できる。500万本の干し草が積まれた山に、1本の針が隠されている。見つけろ。

手持ちは両手と山だけ。一度に1本の干し草を取り、調べ、捨て、次を取る。公開映像で確認できるペースから単純計算すると、干し草1本を調べるのに約2秒かかる。針が山の底にある場合、道具も自動化も使わなければ、理論上500万本すべてを調べる必要がある。その推定では、食事も睡眠も取らずに連続プレイすると、クリアまで約116日かかる。
これは「見つける」ゲームではない。『探し続けること』自体がゲームなのだ。
干し草を選別していると、時折価値のあるものが出てくる。それを売れば、シャベル、カート、ふるい、さらには自動化マシンを買い、一度に多くの干し草を処理できる。ただし、別の遊び方も用意されている。ツールを一切買わず、自動化も使わず、両手で500万本すべてを選別することもできるのだ。

マルチプレイにも対応。友達と一緒に探せる。より多くの人、より多くのツール。しかし針は1本だけ。
ミームがゲームになるとき、それは何を試すのか
『Needle In A Haystack Simulator』の核心的な設計問題はこれだ。「シミュレーションゲーム」を作っているのか、「パフォーマンスアート」を作っているのか?
Steamページの説明を見る限り、開発者自身もこの問題で葛藤しているのかもしれない。一方で完全なアップグレードパスを提供している。ツール、自動化、マルチプレイ時の効率化。一方で、それらを一切使わず、「最も純粋な」針探しを体験することもできる。この二つの選択肢は、ゲームが本当に問いかけていることを示している。針を見つけるために遊ぶのか、それとも針がなかなか見つからない過程そのものを味わうために遊ぶのか?

前者を選ぶなら、このゲームは本質的にインクリメンタルゲームだ。干し草を選別し、売り、ツールをアップグレードし、さらに選別する。ゲームサイクルは『Cookie Clicker』や『Melvor Idle』と根本的に違わない。ただ「クリック」が「干し草を動かす」に変わっただけだ。インクリメンタルゲームの核心的な楽しさは数値の成長と効率向上にあり、このゲームもそのシステムを提供している。段階的な報酬もある。見つけたアイテムを売り、新しい道具を買い、作業効率を上げていく。しかし、それらの報酬は最終的に、針を見つけるという一つの目標につながっている。針を見つけるまでは、アップグレードは終わりのない作業を速めるだけだ。得られるのは作業効率であって、目標に近づいたという実感ではない。
後者を選ぶなら、このゲームは耐久テストになる。100日以上かかるかもしれないと知りながら、座って一本ずつ選別する。自分に課す忍耐の試練だ。繰り返しと単調さをあえて受け入れ、見返りが保証されない作業を続ける。その喜びは「クリア」ではなく、はっきりした報酬がなくても何かを続ける行為そのものにある。禅のような静けさかもしれないし、頑固な執着かもしれない。
この二つの体験のせめぎ合いこそが、このゲーム最大の議論の的であり、最大の魅力でもある。
Steamでは本家より模倣作が目立つ——本物を探すこと自体が「干し草の中から針を探す」ようだ
『Needle In A Haystack Simulator』がSNSで話題になった後、Steamには少なくとも8つの酷似タイトルが出現した。名前を少し変えたものを含めると、その数は10を超える。これらの模倣作の一部は、ロゴやプロモ素材に生成AIを使用しているように見えるが、どれがAIを使ったかは個別に確認されていない。さらに注目すべきは、一部の模倣作がオリジナルより早くSteamストアに掲載されたことだ。
開発者のNas NakarusはXで、皮肉を込めてこんな投稿をした。「バズったゲームの開発者として、Steamストアに正式に謝罪したい」。一部のユーザーはこれを「SteamのRoblox化」と呼んでいる。

この問題が議論に値するのは、新しいからではない。Steamのインディーゲームの模倣問題は何年も前からある。議論に値するのは、それがこのゲーム自身のテーマの完璧な鏡になっているからだ。「大量のがらくたの中から唯一価値のあるものを探す」ゲームの公式ページが、模倣作の山に埋もれている。本物の『Needle In A Haystack Simulator』を遊ぶには、まずSteamで、干し草の山から針を探すように本家を探さなければならない。
開発者は、自分のゲームの存在をユーザーに知ってもらうため、何度も説明しなければならなかった。Steamストアページには現在「The viral one. The one and only.」というタグラインが掲載されている。一方、公式Steamコミュニティのお知らせにははっきりと「This page right here is the original game.」と書かれている。この状況にはある種のブラックユーモアがある。同時に、現在のインディーゲーム市場の一面も浮き彫りにしている。アルゴリズムとアクセス数がものをいうプラットフォームでは、良いゲームを作ること以上に、まずユーザーに見つけてもらうことのほうが難しい場合がある。
それが本当に試すのは、「無意味さ」へのあなたの耐性
『Needle In A Haystack Simulator』は万人向けではない。ほとんどの人向けではないかもしれない。

ゲームの核となる体験——反復作業の単調さと、目標に近づいている実感の乏しさ——は、従来のゲームデザインの常識に逆行している。しかし、まさにその「アンチゲーム」的な性質が、SNSでバズを生む原動力となった。人々がクリップを共有したのは「面白そう」と思ったからではなく、「おかしい」と思ったからだ。
そのおかしさが実際のプレイ時間に変わるかどうかは、非常に個人的な問いにかかっている。終わりが見えない作業に何時間も取り組み、少しずつ進んでいる実感があっても、努力に見合う満足感が得られないかもしれない。それでも続けられるだろうか。
受け入れられるなら、このゲームは奇妙な満足感を与えてくれるかもしれない。干し草を選別するうちに、意識は「針を見つける」ことから、「選別する」行為そのものへと移っていく。干し草を手に取り、調べ、捨てる。その繰り返しが、釣りや部屋の片付けにも似た、独特の静けさを生み出す。マルチプレイはこれを強化する——友達と一緒に無意味なことをすることで、その行為自体が意味を持ち始める。
受け入れられないなら、10分で退屈し、1時間で怒りを覚える。「なぜこれに時間を使っているのか」と思い続け、ゲームを閉じてオンラインで不満を言うだろう。
どちらの反応も妥当だ。『Needle In A Haystack Simulator』は本質的に、「楽しいかどうか」を問うゲームではない。そもそも、この作業に付き合う気があるかどうかを問うゲームなのだ。選択は完全にプレイヤーに委ねられている。アップグレードしてもいいし、しなくてもいい。マルチでもソロでもいい。針を追ってもいいし、見つからないことを楽しんでもいい。
開発者は答えを用意しなかった。ただ500万本の干し草を積み上げ、「幸運を祈る」と告げるだけだ。
著作権表示:本記事で引用したゲームのスクリーンショット、キャラクター画像、および関連素材の著作権は、Studio Bitdot、Polden Publishingをはじめとする各権利者に帰属します。本稿はゲームの紹介・レビュー・情報提供のみを目的としています。
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